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ちょっと役立つ話3

プラントでよく見られる外面腐食とその予防


予防保全によってトータルの保全費用を下げる

プラント装置で配管減肉からの漏えいによる緊急停止が発生した場合、生産が行えなくなり、さらに復旧にも費用・時間がかかってしまいます。

プラント設計時の外面腐食対策が有効に行われていれば、運転中の流体漏れを心配せずに安全な状態を維持できますが、残念ながら数十年先の外面腐食にまで対策を行うプラントは少ないようです。


プラント配管の漏洩が発生しやすい箇所というのは、多くのプラントで共通しています。

減肉から漏洩につながりやすい配管箇所には次のような場所が含まれます。


  • 配管とリブ、サポート、当て板、ダミーサポートの接触面
  • 配管からのノズル
  • Uバンド等の異種金属との接触部
  • 土壌貫通接触部

このような箇所は、事前に外面腐食対策を織り込んだ設計、予防保全をすることが大切になります。


外面腐食させないための対策


水・酸素と接触させない状態を維持できれば、外面腐食の問題は解決します。

多くのプラントで、重要なラインには重防食塗料、またはFRP等を接着させる対策を行っていますが、表面処理が不十分であるためせっかくの塗装、FRPが簡単に剥がれてしまうケースが多く見られます。

塗料の選定よりも、表面処理の質にこだわることが、予防保全の観点から重要です。


推奨するブラストの種類及び注意点


・エアーブラスト(ガーネット♯36)を使用

ブラスト前に塩類、油分を取るためイソプロパノールで脱脂します。

火気作業になるので、プラント建設時、定期修理中に行う必要があります。

・Bristle Blaster

縦に回転するブラシの反発力を利用して表面処理を行います。エアー式のものはかなり大量の空気が必要になります。


また、エアーブラスターに比べると表面処理のできる面積が小さいので、範囲が広い場合はエアーブラスターを使用します。

ごく少量の火花がでますが、作業を見た多くのお客様は火気養生の必要はないと判断される場合が多いです。


この2種類のブラスト以外は、表面を「ツルツル」にするので、接着力が逆に下がってしまいます。

軽くたたいて剥がれる場合は、表面処理が明らかに不十分なので、表面処理の仕様を変えてください。


特に漏れを止める場合は、接着力を可能な限り高める必要があるため、上記のブラスターによる表面処理で凹凸を形成して接着面積を増やします。

手で触ってザラザラしているのが感じられれば、表面処理の程度としては合格です。


FRPの紫外線耐性


FRPによる外面腐食の予防保全では、施工してから数年で紫外線によって表面が劣化して、白くなる現象が起こります。

重防食塗料でも使われているエポキシ樹脂は、接着力は高く、水分・酸素遮断性に優れるといった特長がありますが、紫外線があたると分子レベルで切断されて脆くなる性質を持っています。

そのため、長期間の補修性能を確保するために、耐候性に優れたポリウレタン樹脂、またはフッ素樹脂を上塗りする必要があります。


ガラス繊維とエポキシ樹脂を組み合わせたFRPによる外面腐食予防では、上塗り塗料が塗られていないため、せっかくのFRPが劣化して適切な環境遮断性が維持できていない場面がよく見られます。

必ず紫外線耐性のある塗料を上塗りすることが長期の補修性能維持に重要です。


漏れが発生してからの対処では、費用もかかり技術的に難しくなる場合が多いので、外部腐食の発生が予想される箇所は早めに対策を行うことが予防保全の観点から重要です。

一般的に、ある程度建設してから年数の経過したプラント配管の外面腐食の進行速度は0.5㎜以下/年なので、貫通して漏れる前に対策を検討ください。


外面腐食が進行した場合の対処法 - サポート上の配管

炭素繊維複合材補修の設計図例 配管とサポート接触面の炭素繊維複合材補修の設計図例

サポートに長年接触している配管は、必ずといっていいほど外面腐食によって接触箇所に減肉が見られます。

漏れた場合の対処が非常に難しいので、貫通前に外面腐食の進行を止めて漏洩の危険性を無くします。

・強度計算例
   運転圧力:     0.1MPa
   必要な設計寿命: 20年
   減肉の原因:   サポートと配管接触部のガルバニック腐食
   残存管厚:    1㎜

残存管厚が1㎜しかないので、貫通して漏れた場合を想定した強度計算を行います。

配管径にもよりますが、圧力が0.2MPaまでであればコンポジット層の接着力と強度で十分に漏れた場合の内圧を抑え込むことが可能です。


施工手順

  1. 現場調査により減肉範囲及び仕様確認
  2. 強度計算により必要な接着面積及び積層数算出
  3. 減肉箇所に鉄板を取付(粘度を高めたエポキシ樹脂を使用)
  4. ブラストによって表面処理を行う
  5. イソプロパノールによる脱脂
  6. ガラス繊維の積層
  7. 炭素繊維を強度計算で算出した積層数まで積層
  8. 保護層を巻きつけ常温で硬化

上図の例は、炭素繊維複合材を用いた補修例ですが、ブラストによる下地処理では貫通の恐れがあるため、減肉箇所の上に鉄板を置き、鉄板ごとコンポジット層で巻いてしまいます。

コンポジット層の接着力で充分に鉄板を支えることができ、さらに貫通した場合においても漏れを抑えることができるように損傷径に対応した強度計算を行い、積層数を決定します。


鉄板の周囲は表面処理を行う必要があります。

運転中に補修する場合、サポートの撤去と再設置が必要になります。

設計段階での外面腐食対策と建設時の予防保全措置ができれば、さらに長期間のメンテナンス、保全費の低減を図ることができると考えられます。

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