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ちょっと役立つ話2

エポキシ樹脂の特徴


よく聞くエポキシ樹脂って何?

もっとも一般的なエポキシ樹脂はビスフェノールA(主剤)とエピクロルヒドリン(硬化剤)を混合して重合体を作るタイプのものです。

エポキシ樹脂は常温で透明からやや黄色かかった色に見えます。粘度が高く、工業用途の添加剤の少ないエポキシ樹脂は、常温で白く結晶化することがあり、結晶化した場合は50~60℃程度に温めると透明な液体に戻ります。


硬化剤に加える添加物によってエポキシ樹脂の性質を変えることができます。

エポキシ樹脂は接着力が強く、酸素・水分の透過性が低い特徴があり、多くの化学物質に対しての耐性を持っているため外面腐食を予防するためには理想に近い樹脂と言えます。

エポキシ樹脂の蒸気圧は低いので、常温での使用中に蒸気を吸い込んで気分が悪くなることはありません。


しかし、皮膚に触れた場合は、感作性皮膚炎の原因となることがあります。かぶれやすい体質の人は、触れると赤くなりかゆみが出るので、手袋、保護具等の着用によって触らないようにします。

もし触ってしまった場合は、石鹸水で落とします。硬化後の樹脂には毒性がないので、硬化するまでは触らないように注意する必要があります。


エポキシ樹脂の混合


一般的に、硬化していないエポキシ樹脂は弱い機械的性質、低い化学薬品耐性しかありません。

ところが、硬化したエポキシ樹脂は分子がつながって3次元の架橋構造を形成するため、機械的強度が高くなり、高い薬品耐性を持つようになります。


エポキシ樹脂の硬化反応は発熱反応であり、夏場などは樹脂が高温になりやすく目を離すと一瞬で固まってしまうので、施工中の温度管理が重要になります。

いくつかの樹脂/硬化剤は常温でも硬化しますが、多くは硬化に熱が必要であり、高温環境で使用する特殊な主剤/硬化剤の組み合わせでは200℃程度の熱が硬化に必要です。


エポキシ樹脂のガラス転移温度(glass transition temperature(Tg))では、樹脂の物性値がもっとも高くなりますが、この温度を超えると樹脂が急激に劣化してしまいます。

そのため、ISO24817:2006では漏れがある場合はTg-30℃、漏れていない場合はTg-20℃をエポキシ樹脂の使用上限温度としています。


   ●-○-●-○-●-○-   ●(主剤) ○(硬化剤)

エポキシ樹脂は主剤と硬化剤が交互に重合するため、片方が多すぎても、少なすぎても余りが出るため完全に硬化しません。

そのため、混合前の正確な計量が求められます。目分量で混合した場合は強度が出なくなるため、長期間の補強性能が得られなくなります。

毎回の計量が非常に重要であり、早く硬化させようと硬化剤の量を増やしても、硬化速度は変わりませんので正確な計量を心掛けてください。


エポキシの重合反応は化学反応であるため、温度が高いほどすぐに硬化し、可使時間(ポットライフ)が短くなります。

急激に化学反応が進むのを防ぐため、ファーマナイトでは1リットル程度の混合を基準としています。


大量に混合した場合は、プラスチックが解けるほどの温度になるため、使い切る量だけ小まめに混合することが重要です。

エポキシ樹脂の性質は、硬化剤の成分によってさまざまに変えることができます。


耐摩耗性、化学薬品耐性、耐熱性、接着性等の全ての性質に優れたエポキシ樹脂は存在しないので、例えば1つの性質に優れた樹脂を作った場合は、他の性質が犠牲になることがあります。


ファーマナイトで使用する樹脂は、配管との接着性を高め、熱膨張率の差による応力を少なくするように成分を選定しているため、耐熱性が制限されています。

高温時の性能については、事前に十分検討した上で、最適・最善の施工を決定する必要があります。

長期間の補修性能を得られるようにするために、求められる性能に応じた樹脂の検討・判断を行う必要があります。


樹脂の紫外線対策


エポキシ樹脂は紫外線によって表面が劣化して白く変化します。

屋外では年10μm程度の速度で劣化することが予想されるため、長期間の性能を確保するためにはポリウレタン塗装やフッ素樹脂による塗装を一番上に塗る必要があります。

重防食塗装では、1番上にこれらの耐食性のある塗装がされています。


ファーマナイトの炭素繊維複合材では、1層の厚みが1㎜以上あるため、毎年10μmの表面劣化が進行したとしても、強度に影響がでるのは10年以上先になります。

ただし、表面が白く変化して粉状になるので、見た目を気にする場合は耐候性塗装を上に塗ることをおすすめします。


施工後の層間剥離


下地処理を行わずに凹凸面がなければ、炭素繊維複合材は簡単に配管から剥がれてしまいます。

それでは、エポキシ樹脂の上にエポキシ樹脂を塗り重ねた場合はどうなるのか?というと、時間がたって硬化したエポキシ樹脂の表面は凹凸がなく滑らかなので、その上にエポキシ樹脂を塗り重ねると層間剥離が起きやすくなります。


そのための対策として、次のエポキシ樹脂を塗るまでに時間が空くようなときは、表面がザラザラのナイロン製の布(ピールプライ)を巻きつけます。

これは、硬化してから剥がすことで布の凹凸形状をエポキシ樹脂表面に転写させるためであり、硬化後は簡単に剥がすことができるので、接着強度を保ったまま積層を続けることができ、設計通りの強度が得られます。


温度の低い冬の施工では特に問題となりませんが、35℃を超えるような夏場の環境では樹脂の硬化が速く、1時間程度で硬化が始まります。

そのため、品質を確保するために1日の施工できる範囲が少なくするように施工日程を検討することをお勧めします。


低温環境での施工


エポキシ樹脂の硬化反応は化学反応なので、温度が低くなると高温時とは逆に反応速度が遅くなり、5℃程度で硬化反応が停止します。

冬に施工する場合は、混合後樹脂を放置しておくとゲル状になり施工できなくなります。


そのため、事前の樹脂缶の温め、投光器による積層後の昇温等の対策が必要になります。

また、エポキシ樹脂の主剤は、低温環境に置くと白く結晶化する場合があるので、施工前に結晶化していないことを確認してください。

容器を温めると、結晶化した樹脂は元に戻ります。

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