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ちょっと役立つ話1

コンポジット(炭素繊維複合材)について


コンポジットって何?

英語辞書で"composite"を検索すると、「化合物」「混合物」「複合材料」といった意味が出てきます。

ファーマナイトのコンポジットリペアで使っている意味に最も近いのは「複合材料」です。

wikipediaでは”複数の性質の異なる素材を組み合わせ、それぞれの単独では得られない特性を得ようとするもの”と説明されています。

この説明のとおり、複合材料にすることで材料両方の長所を引き出すことができます。

  

配管補修用に編み込んだ炭素繊維のシート 2液性のエポキシ樹脂

  • 炭素繊維:軽くて強度がある
  • エポキシ樹脂:薬品耐性、接着性、耐候性、絶縁性に優れる

現在では航空機や自転車に使われるようになった炭素繊維複合材料ですが、大手石油メジャーでは配管補修のために20年以上前から炭素繊維複合材補修の研究・技術開発を進めていました。

もちろんファーマナイトのエンジニアも技術開発に参加してます。


研究が進み実用化されるのにともなって、炭素繊維複合材を用いた配管補修の技術・設計規格を作成する必要が生じ、2006年にISO/TS 24817、2008年にASMEPCC2が発行されました。さらに2015年にはISO24817と正式な技術規格になりました。


どうして炭素繊維とエポキシ樹脂を組み合わせたのか?


炭素繊維は腐食することなく、重さは鉄の1/10、引張強さは数千MPaという優れた性質を持っています。

炭素繊維単体はシート状で、そのままでは配管に巻きつけることができないため、接着性に優れたエポキシ樹脂と組み合わせることで対象物の形状に合わせた補修が行えるようになります。


エポキシ樹脂は主剤と組み合わせる添加剤によってさまざまに性質を変化させることができます。

例えば、配管と同じ熱膨張率を持たせたり、200℃でも安定して連続使用できるように高温耐性を持たせることができます。

高い化学薬品耐性があり、接着強度が得られるエポキシ樹脂は複合材の材料として最適なのです。


エポキシ樹脂の強度が全体の強度にならないの?

炭素繊維の方向と強度

「エポキシ樹脂の強度は炭素繊維と比べて弱いので、全体の強度が低くなるのでは?」とお考えのかたもいらっしゃるかもしれません。

そう思われた方は、なかなか鋭いです。たしかに、炭素繊維は繊維方向にのみ強度を持っているため、横方向(左図の赤矢印)に引張られると、エポキシ樹脂の強度しか発揮されません。

エポキシ樹脂の引張強度は10~30MPaしかないので、繊維方向の真横に引張られると炭素繊維自体の強度は発揮されません。


そこで、炭素繊維を0°と90°方向の直角に編み込むことで、一番引張りに弱い角度を45°方向に変えます。

さらに、45°方向にも繊維を編み込むことで、一番弱い角度を22.5°にすることができます。

繊維方向の引張強さを100%とすると、22,5°では約60%の引張強さが得られるので、実際の強度計算ではこの60%の値を使うことになります。

2方向性の炭素繊維シート 4方向性の炭素繊維シート

炭素繊維複合材で繊維と樹脂の体積比が50:50だとすると、炭素繊維の引張強さのさらに半分の値がコンポジット材の引張強さになります。

したがって、炭素繊維の強度を100とすると、4方向繊維にした場合の複合材料の引張強度は
  100×1/2×0.6=30になります。

上記の通り、炭素繊維の強度がそのまま複合材の強度になるわけではありません。

設計ではこの点を考慮しないと、強度不足や炭素繊維複合材の剥がれの原因となってしまいます。

ファーマナイトでは、長年の実績によって得られた安全率をさらに加えた強度計算を行います。

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